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着付けを習いたいと思って、調べてみた結果、まず最初に選択肢にあがるのは、「無料」や「ワンコイン」をうたった呉服販売店絡みの着付け教室だろう。格安で着付けを習えて自分で着られるようになるなら…と夢は広がる。

ただ、これらの格安着付け教室は必ず「着物を押し売りされるのでは?」という不安がつきまとうし、実際に押し売りとまでは言わずとも着物や帯の「展示会」や「販売会」はほぼ100%行われ、それらへの参加や品物の購入が、講師との関係性に大きく影響したりする。結果、生徒さんは「着物を着られるようになりたい」気持ちと「着物を買わされるかもしれない」という不安を天秤にかけた結果、後者を恐れてドロップアウトしてしまう。

わたしは常々そこに大きな矛盾を感じていた。格安着付け教室を行っている呉服販売店も「着物ファンを増やしたい」という思いを持っているはず。着物人口が増えなければ呉服業界は衰退の一途を辿る。それなのになぜ着物ファンを増やすきっかけを自ら潰してしまうのか。着付け教室の生徒さんの中で、数十万する着物や帯を「ちょうど着物欲しかったから、買っちゃおう♪」なんてテンションで買える人が、一体どのくらいの割合でいるのか。もちろん着物や帯を売るのが商売なのだから、セールスそのものを非難するつもりはない。しかしそれならば、増やしたいのは「着物ファン」ではなく、「自分んとこの着物ファン」であることを最初に明確にすべきだ。そうでなければ、着物ファンは増えるどころか着物そのものにネガティブな印象を持つ人ばかりが増えてしまう。

というわけで、格安着付け教室に通って、自分で着られるようになれる人は 「数十万の着物を躊躇いなく買える人」か「どんなに講師に冷遇されようとも気にしない鋼メンタルの持ち主」に限られる。

今はyoutubeなどで探せばいくらでも着付けレクチャー動画は見つかる。タダだし、好きな時間に学べるし、着物を押し売りされることもない。

このような着付けを学ぼうと思えばお金をかけずに学ぶことができる時代に、数万円というお金を払って着付けを習う意味ってなんだろう。

それを、わたしは考えています。

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