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7月に入り、浴衣の季節となった。
着物を日常的に着る者として感じるのは、ここ10年で着物界における浴衣の立ち位置がだいぶ変わってきたということだ。

私が着物を本格的に学んでいた10年ほど前はまだ「浴衣=寝巻き」という概念がベースにあり、
例外として夏祭りや盆踊りの際は外に着て行っても良いというような風潮だった。
着物に比べて着るのは楽だが活躍シーンはかなり狭く、着物を着られる人の多くはなんとなく物足りなさを感じていたのではないかと思う。

しかし、最近SNSなどで浴衣の下に襦袢を着るスタイルや、従来より華やかでボリュームのある帯結びをよく見かけるようになった。さらに帯留めや帯揚げも動員されれば、一見して浴衣か着物が見分けがつかない。
また、浴衣の柄も多種多様になり、帯に関しても男物や子ども用というイメージが強い兵児帯を、大人の女性用にアレンジして結んでいるケースもある。
逆に麻の着物を襦袢なしで浴衣風に着ることもできる。

浴衣と着物の違いについて、よく聞かれることがある。
以前なら「襦袢を着るかどうか」「足袋を履くかどうか」など、着方の違いがその答えになっていた。
しかし、今ではその答えも正解とは言えない。
浴衣と着物に仕立てや生地における明確な違いもないのだから、その境界線はかなり曖昧になっている。

地球温暖化とともに、着物界では肩身の狭い思いをしていた浴衣の地位がどんどん上がっている。
着付けをこれから学びたいと思うとき、浴衣から入ることは珍しくないが、その後のステップアップとして、いきなり着物にいくのではなく、浴衣の下に襦袢を着たり、帯揚げ・帯締めの結び方を練習するというやり方があっても良いのかもしれない。

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