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着物特有のものかどうかは知らないが、着物愛好家の中ではよく「概念コーデ」という言葉が使われる。
これは、着物や帯の柄、季節、着ていく場所、シチュエーションなどを元に組み立てたコーディネートのことで、いわゆる「着物の格」という話ではなく、コーディネートそのものに意味や物語を創り出す。例えば「雨のような水玉の着物にカエルの柄の帯をして梅雨を楽しむ」とか、「友達とレトロ喫茶に行くから、アンティークの着物と帯にし、髪型から持ち物まですべて大正ロマンで固める」といった具合に、単に着物や帯の柄だけでコーディネートを決めるのではなく、そこに意味を持たせる。
これは昨今の流行ではなく、着物の世界では大昔から行われていたコーディネート方法だ。着物は文様に意味を持たせたり、季節感を大切にする。それも海山が身近にあり、四季がはっきりしている風土と、それを愛でる文化があってこそだろう。
そこに西洋文化や新しい流行などが混ざり合ってどんどん選択肢が広がり、でも、昔から行われている手法をベースとし、「概念コーデ」が完成している。
日本人は食文化にしろテクノロジーにしろサブカルチャーにしろ、とにかく自分たちの「楽しい」に貪欲であるなあとつくづく思う。

ちなみに本記事の写真は「幸の薄い昭和初期の人妻」という概念のコーデだ。もはやコスプレとの境界線も曖昧だ。なるほど、日本人のコスプレ好きもルーツは着物文化にあるのか、とこじつけてみる。

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